2025年11月3日

人工透析 ~主な公費負担制度~

 透析治療にかかる費用


透析を受けた場合の費用負担

1ヶ月の透析治療の医療費は、患者一人につき外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30~50万円程度が必要といわれています。このように透析治療の医療費は高額ですが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立しています。透析患者は必要な手続きをすることで次のような制度を利用することができます。


📌医療保険の長期高額疾病(特定疾病)

高額療養費の特例として(一般の高額療養費とは異なる)により保険給付され、透析治療の自己負担は医療機関ごとに1か月1万円が上限となります。

(一定以上の所得のある人は2万円が上限になります。外来・入院・薬局等、それぞれでの負担となります。また、入院時の食事代は自己負担です。)

※手続き方法・・・特定疾病療養受療証交付申請証に医師が記載・捺印の上、加入している保険者(健康保険組合や健康保険協会、共済組合、市町村国民健康保険課)や後期高齢者広域連合の窓口で申請し、「特定疾病療養受療証」の交付を受けます。


📌自立支援医療(更生・育成医療)

障害者・児の身体的障害を軽減させる目的で受ける医療費について、血液透析やCAPDを受けた場合の自己負担分を国制度で助成します。世帯の所得により自己負担があります。助成を受けるには身体障害者手帳の交付を受け、治療を受ける医療機関が自立支援医療機関の指定を受けていることが必要です。

原則一割負担ですが、低所得者に関しては一定の軽減措置がされており、透析や移植など長期に治療が必要な疾病は、「重度かつ継続」という名称で、減額される経過措置がとられています。

※手続き方法・・・各区高齢障支援課に身体障害者手帳などを提示して申請します。


📌重度心身障害者医療費助成制度

身体障害者手帳1,2級(一部の県では3級まで)の障害者が医療を受けた場合に、医療保険や自立支援医療などの自己負担分に対して、各都道府県や市区町村が独自の制度として助成を行っています。入院時食事療養費(食事代)の自己負担分を助成する自治体もあります。65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に加入していない患者に対して、助成に一部制限をつけたり、助成の対象としない自治体があります。

この制度は、都道府県または市区町村により、名称、所得制限の有無、助成対象、一部負担金が異なります。

※手続き方法・・・保健福祉局高齢障害部障害者自立支援課に身体障害者手帳などを提示して申請します。


引っ越しや転職の際には、加入している健康保険証・特定疾病療養受領証、身体障害者手帳など、住所変更の手続きが必要となります。給付対象となる期間に間が空いてしまわないよう、早めに手続きを行いましょう。また、通院している透析施設へも新しい証書の提示を忘れずにしてください。