2021年2月17日

透析の合併症について②

前回に引き続き、透析による合併症について説明していきたいと思います。


 5.感染症

透析患者は一般に感染に対する抵抗力が低下しており、感染症にかかる割合が高いです。


穿刺部から細菌が侵入して起こるシャント感染、尿量が少ないために起こる尿路感染、

風邪をこじらせて起こる肺炎、結核、輸血によるウイルス性肝炎などがあります。



6.二次性副甲状腺機能亢進症

腎不全になると、リン(P)が腎臓で排泄されなくなり高リン血症になります。

リンが上昇すると腸でのカルシウム(Ca)の吸収が悪くなり、

血液中のカルシウムの濃度が下がってしまいます。

そのため、カルシウム濃度を上げようとして

副甲状腺という器官から副甲状腺ホルモン(PTH)という物質を分泌します。


副甲状腺ホルモンは、骨を溶かして血液中の

カルシウム濃度を上げようとする働きがあります。

この現象が続くともろくて骨折しやすい骨となります。



7.アミロイド骨関節症

長期間透析を続けていると、アミロイドという物質が骨や関節に沈着し、

骨や関節、肩や首などの痛み、しびれ、麻痺などの症状が出ることがあります。



8.高カリウム血症

果物、生野菜、肉や魚の生ものなどカリウムを多く含む食品を摂りすぎると発生します。

症状は、手足のしびれ、重い感じ、口のしびれ、

脱力感、知覚異常、味覚異常、違和感などがあり、

さらに血液中のカリウムの値が上がると脈が乱れ、

心臓が止まることもあり大変危険です。


また、便秘や下痢、食欲不振などによるカロリー不足、

体内での出血、発熱、透析不足などでもカリウム値は上昇するので注意が必要です。



9. CKDに伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)

CKD(慢性腎臓病)の進行にともなって起こる、ミネラル代謝異常を現す全身性疾患です。


腎臓は、ミネラル代謝調節に大きな役割を果たしているため、

腎臓の機能が低下すると現れます。

血中のカルシウムとリンは相互にコントロールし合っています。

カルシウムの濃度は副甲状腺ホルモン(PTH)と

活性型ビタミンDによりコントロールされています。


腎臓の機能が低下すると、この相互関係がうまく機能しなくなり、

PTHが過剰に分泌され骨が溶け骨折しやすくなったり、骨や関節が痛くなったりします。

PTHの過剰分泌によって骨から溶け出したカルシウムが

リンと一緒になって血液の壁に付着し、血管の石灰化を引き起こします。

血管の石灰化は心血管系合併症の原因にもなり、生命予後に影響を及ぼします。




以上9つが主たる合併症であると思われます。

これらの他にも、心不全や脳血管障害、閉塞性動脈硬化症なども挙げられます。


合併症を引き起こさないためにはどうしたらよいのかを、次回説明していきます。


2021年2月10日

透析の合併症について①

 透析を長期間行っていると様々な合併症が現れてきます。

それらは腎機能が弱ってきているためでもありますが、

生活習慣の管理や食事療法などで改善することもできます。


今回はまずどのような合併症が主にあるのか?

それらの一部をご紹介していきたいと思います。



1.不均衡症候群

体が透析にまだ慣れていない、透析導入期によくみられます。

症状は、透析中から透析終了後12時間以内に起こる腹痛・吐き気・嘔吐などです。


透析を行うことで体内の血液中の老廃物が急激に除去されてきれいになりますが、

脳の中の老廃物は除去されにくく、体と脳との間に濃度差が生じます。


そのため、脳の中の老廃物を薄めようとして脳は水をどんどん吸収するため、

脳がむくみ、脳の内圧が高くなることで引き起こされる症状です。

体が透析に慣れていけば徐々に起こりにくくなります。



2.高血圧

高血圧の主な原因は、水分や塩分の摂りすぎにより、

それらが十分に排泄されず体液量が増加することで起こります。

体重増加に気をつけましょう!


また、高血圧は動脈硬化、心臓病、脳卒中、

視力障害(眼底出血)などの原因にもなります。



3.低血圧

低血圧はもっとも発生頻度の高い合併症といえます。

特に血圧低下を起こしやすい状況として、高齢、糖尿病、

低栄養、貧血、心機能障害などが挙げられます。


自覚症状としては、あくび、吐き気、嘔吐、頭痛、動機、冷や汗などがみられます。

透析での除水による循環血液量の減少に加え血管収縮能の低下、

心機能障害が原因とされています。



4.貧血

腎不全になると、腎臓で作られている造血ホルモン(エリスロポエチン)の

分泌が低下し、貧血になります。(腎性貧血)


また、血液中の尿毒素が増加することによって出血しやすくなったり、

赤血球の寿命が短くなったりすることも貧血の原因です。

腎性貧血は、心血管系合併症の原因にもなります。




他にも感染症になりやすかったり、ミネラル代謝異常など多岐にわたります。

次回の生地でも続けて説明していきたいと思います。

2021年2月1日

2月の休診日について

 しょうじゅクリニック 2月の休診日についてお知らせします。



休診日・・・毎週日曜日・水曜日


臨時休診・・・2月  8日(月)

       2月22日(月)



上記の日は終日休診となっておりますのでよろしくお願い致します。

5月の休診日について