2018年12月26日

ノロウイルスについて①




食中毒というと夏に多いイメージですが、年間の食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものなのです。そのうち約7割は11月~2月に発生しており、この時期の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによるといわれています。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐・下痢・腹痛・微熱などを起こします。感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため注意が必要です。
また、子供や高齢者は重篤化することがありますので、特に注意が必要です。
今回はそんなノロウイルスの感染源や予防策を、二回に分けてお伝えしていこうと思います。
 

◯ノロウイルスの感染源
 
ノロウイルスの感染経路には、主に人からの感染と、食品からの感染があります。

①人からの感染
・患者の便や嘔吐物から人の手などを介して二次感染する場合
・家庭や施設内などの飛沫などにより感染する場合

②食品からの感染
・感染した人が調理などをして汚染された食品を食べた場合
・ウイルスの蓄積した、加熱不十分な二枚貝などを食べた場合
感染した場合、約2448時間で吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱などの症状が出てきます。

通常、これらの症状が12日間続いた後に治癒し、後遺症もありません。
また、健康で体力のある人は感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状で済む場合もあります。ただし、子供やお年寄りなどでは重症化することがありますので特にご注意ください。


◯ノロウイルスの予防方法
ノロウイルスはワクチンが無く、治療は点滴などの対症療法に限られてしまいます。
日ごろからしっかりと予防することが大切です。

①手洗いをしっかり行う
特に食事前、トイレの後、調理前後は石鹸で良く洗い、流水で十分に流しましょう。

②人からの感染を防ぐ
家庭内や集団で生活している施設でノロウイルスが発生した場合、感染した人の便や嘔吐物からの二次感染や飛沫感染を予防する必要があります。
ノロウイルスが流行する冬期は、乳幼児や高齢者の下痢便や嘔吐物にノロウイルスが含ませていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分に注意しましょう。

③食品からの感染を防ぐ
加熱して食べる食材は中心部までしっかりと火を通しましょう。
二枚貝等ノロウイルス汚染の恐れのある食品の場合、ウイルスを死滅させるには中心部が85℃~90℃で90秒間以上の加熱が必要とされています。
また、調理器具や調理台は消毒していつも清潔にしておきましょう。
まな板、包丁、食器、布巾などは使用後すぐに洗ったり、熱湯(85℃以上)で一分以上加熱消毒したりすることが有効です。



今回はノロウイルスの感染源と予防方法についてお話ししました。
次回は消毒方法と感染した時の対策についてお話していきたいと思います。

 
 




 

2018年12月12日

透析患者の足病変について


 
 

 
 
冬になると手が乾燥してきてハンドクリームなどを使われる方も多いかと思います。
ですが、「足」に対してはいかがでしょうか?
時期は関係ありませんが、手や腕などの目につきやすいところに比べて足に対する意識はあまり高いとは言えません。
 
 
 
今回はそんな「足」の病変についてご説明したいと思います。
 
足のトラブルは透析患者様など特定の対象者だけでなく、そもそも神経障害や血流障害が起こりやすい部位であることからどの患者様にも起こり得る問題です。
そして足に対する意識は上記でも述べたようにあまり高いとは言えないと思われます。
そのため、トラブルが起きても重症化するまで対処されないケースが少なくありません。
 
そのリスクが高い患者様は透析患者様だけでなく、糖尿病、閉塞性動脈硬化症、関節リウマチ、その他の膠原病、膠原病類縁疾患、下肢から足にみられる皮膚疾患などの患者様も含まれます。
小さな怪我も重篤化しやすい点や、そのために潰瘍が形成されやすかったり、末梢循環障害になりやすい、足の感覚が鈍っているためなど様々な症状があるためです。
 
 
 
次によく見られる足のトラブルを挙げていきたいと思います。
 
足の痛み 変形性関節症、うおのめなど
 
足変形 扁平足、外反母趾など
 
爪の変形 巻き爪、陥入爪、肥厚爪など
 
角質肥厚 たこ、うおのめなど
 
感染症 水虫など
 
乾燥、亀裂 皮脂欠乏性湿疹など
 
 
 
中でも、何か疾患を抱えている・いないにかかわらず身近なのが爪の変形や角質肥厚、乾燥、亀裂ではないでしょうか。
しかし、糖尿病の患者様であれば、たこひとつでも油断はできません。放置すれば肥厚化し、普段の歩行などで物理的な刺激も加わり皮膚の下に潰瘍が形成されることもあります。
そこから血液の流れが悪くなると足が壊疽してしまい、場合によっては足を切断しなければならなくなってしまいます。
 
ですので、たとえ小さな怪我や症状だからと言って見逃してしまうのは良くないということです。
足を守るためには、日ごろから足をよく見るようにして手入れを怠らないことが大切になってきます。自分でできるフットケアのポイントとしては、
 
 
①毎日足を観察する
  入浴時や爪を切るときに傷ややけど、タコや水虫が無いか、
  その他に変わった点はないか必ずチェックする。
②足を清潔に保つ
  毎日足の裏や指の間も丁寧に荒井、しっかりと水分をふき取る。
  乾燥しやすい方はクリームなどを塗る。
③爪を正しく切る
  爪を切るときに皮膚を傷つけないようにして、深爪にならない様注意する。
  爪の先がまっすぐになるように切る。
 
 
以上3点となります。爪が硬く、切りにくい場合や巻き爪が食い込む場合、その他にも何か普段と違う異常がみられる場合などは医師に相談するようにしましょう。糖尿病患者の場合、定期的な受診なども大切ですね。
 
杖歩行や車椅子に頼ることなく、自分の足で歩行を行っていけるよう、ご自身でのフットケアや早めの病院受診を怠らないよう過ごしていただければと思います。
 
 
 
 
 
 
 

12月の休診日について