透析を行っている患者様のなかには、糖尿病を患っている方も多くいらっしゃると思います。
糖尿病から腎不全を併発し人工透析を導入する方も多く、さらに感染症や心不全になるリスクも高まります。国際糖尿病連合によると、糖尿病を発症した患者のうち3人に1人が糖尿病性腎症を患うというデータがあります。
しかし、寿命を短くする原因や気を付けるべきことを正しく理解すれば、糖尿病患者が全員透析を導入しなければいけないということはありません。
今回は、糖尿病から腎不全を併発することのリスクと、人工透析を受けるにあたっての寿命についてお話ししたいと思います。
日ごろの活動量や性別・年齢、合併症の有無などによって、一日に摂取する適切なエネルギー量が決まるので、主治医と相談して決めましょう。
・糖尿病と腎不全は治療の両立が難しい
極端に言うと、糖尿病では「低カロリーの食事と運動」が治療に必要なのに対し、腎不全の治療には「高カロリーの食事と運動制限」が必要になってきます。治療方法に矛盾が生じ、戸惑う患者さんも少なくありません。
病気が変われば治療方法も変わりますので、医師の説明をしっかり聞きましょう。
・長年の糖尿病治療は透析治療にもリスクをきたす
糖尿病を患うと、高血糖により血管がもろい状態になっています。その結果、シャント※1 に適した血管が少なく、腎不全を治療することで血管の病気にもつながってしまうことが少なくありません。
今現在糖尿病を治療中の方、これから透析を導入する方、そのご家族が気になっていることだと思います。
統計データから見る人工透析患者の生存率ですが、日本透析医学会によると、1年経過で88%、5年経過で60%、10年経過で35%、15年経過で22%という結果が出ています。この数値の注意点ですが、日本では透析の歴史が浅く透析治療が浸透したのが最近ということもあり、正確なデータと確定できるものが少ないのが実情です。正しい知識を持ち治療に取り組むことで平均寿命に関わらず長生きすることができます。
透析患者さんでも治療・体調管理をしっかりと行うことで元気に暮らしている人が多くいらっしゃいます。合併症を予防すること・正確な知識をもとにリスクを減らすことが大切です。
※シャントとは
腎不全が重症になると水や老廃物が体にたまってしまうため、人工的に血液を浄化して水分を除去する治療、すなわち血液透析が必要になります。血液透析を円滑行うためには、血液を多量(1分間に150~200ml)に体外に導き出さなければならないので、シャントという特殊な血液回路を外科的に腕や手に造ります。これが「シャント造設術」と呼ばれる手術で、動脈と静脈を細い針と糸で細かく縫って吻合します。
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