2021年7月28日

腎不全で起こる変化①


今回からは、透析を行うようになると
体にどのような変化が起こるか説明していきたいと思います。


【変化①】 尿が出なくなる

尿は腎臓で生成された水分と老廃物からできており、
ある一定の尿量が存在することによって、
安定した生命の維持や正常の生理機能を保つことが出来ます。
体格や体内の水分バランスなど様々な条件にもよりますが、
健常人の尿量は1日約1000~2000ml程度です。

透析患者は、腎機能障害が著明に進行しており、
徐々に尿量が減少すると考えられます。



【変化②】老廃物がたまる

腎臓は、血液中の老廃物をろ過して排泄することで、
血液を浄化する役割を担っています。

そのため、腎機能が徐々に悪化してくると、
ろ過量が低下し老廃物が体内に溜まります。

腎不全で蓄積する老廃物には、以下のものがあります。
1.尿素
2.クレアチニン
3.クレアチニンクリアランス

高度の腎機能低下に伴い、尿中に排出されるべき毒素が
体内に溜め込まれている状態を「尿毒症」といいます。

尿毒症の症状としては、
 1.体液貯留
 (浮腫、胸水、腹水、心外膜液貯留など)
 2.体液異常
 (高度の低ナトリウム血症、高カリウム血症、低カルシウム血症、高リン血症など)
 3.消化器症状
 (食欲不振、悪心・嘔吐、下痢)
 4.循環器症状
 (心不全、不整脈)
 
などがあげられます。


【変化③】浮腫が起こる

浮腫(ふしゅ)とは、顔や手足などの末端が
体内の水分により痛みを伴わない形で腫れる症候です。

浮腫み(むくみ)ともいいます。
成人の体液は体重の60%を占めており、
体液は40%が細胞内液、15%が組織間液、
5%が循環血漿であり、
組織間液が増加した場合に浮腫となります。

透析患者が浮腫になる原因として、
 1.飲食による体重増加
  透析を行っていると、尿の排泄が少なくなるので接種の影響が大きく出やすいです。
  患者によって個人差はございますが、飲食したものが体重増加となって
  体液量増加を起こしやすくなる患者が多くいます。
 2.低心機能
  透析患者は動脈硬化や糖尿病といった、末梢動脈疾患など血管に影響を与える
  基礎疾患を有していることが多いです。
  そのため、心筋梗塞などを発症しやすく、低心機能の患者も少なくありません。
 3.低栄養
 4.血栓症
 があります。



このように、透析を行うと尿が出なくなり、老廃物が溜まったり浮腫みが起きたりします。今後も透析を行っていると出てくる、体の変化についてお話していきたいと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿

12月の休診日について