透析患者さんが気をつけるべき合併症 その⑵
・高リン血症、ビタミンD不足、副甲状腺ホルモン(PTH)の増加、 骨の異常、動脈硬化
リンはたんぱく質など多くの食べ物に含まれています。腎不全ではこのリンが腎臓から排泄されなくなり、血液中にたまると「高リン血症」になります。また、腎不全ではビタミンDが不足し、腸でのカルシウムの吸収が悪くなり、血液中のカルシウムの濃度が下がります。血液中にリンがたまり、カルシウム濃度が低下すると、リンを下げ、カルシウム濃度を上げる作用をもつ副甲状腺ホルモン(PTH)というホルモンが分泌されます。腎臓が悪いことでPTHがたくさん分泌される状態が腎性(二次性)副甲状腺機能亢進症です。PTHは骨を壊し、骨からカルシウムを血液中に放出してカルシウム濃度を増加させる働きがありますが、結果的に骨や関節が壊され、骨がもろくなり骨折しやすくなります。ビタミンDの不足も骨がもろくなる原因となります。
また、血液中のリン濃度が高まると、血液にリンが溶けにくくなり、カルシウムと結合して血管の壁や心臓の弁などにくっつき、これらを石のように硬く(石灰化)してしまいます。この血管や心臓弁の石灰化によって動脈硬化が進んだり、心臓弁膜症を起こす原因となります。高リン血症や二次性副甲状腺機能亢進症の予防には、リンを制限する食事療法、高リン血症、ビタミンD不足、PTH増加を防ぐ薬物療法などが必要になります。
・腎性貧血
腎臓は、赤血球をつくる働きをもつホルモン(エリスロポエチン)もつくっています。エリスロポエチンが不足すると、貧血に。貧血になると、疲労感、動悸、息切れ、食欲不振など多くの症状が現れます。腎性貧血は薬で治療できますが、ホルモン不足が完全に解消するわけではありません。
・透析アミロイド症
透析療法を長く続けることで、透析では十分に除去できないβ2-ミクログロブリンと呼ばれる尿毒素が体内にたまっていきます。大量にたまったβ2-ミクログロブリンはアミロイドという物質をつくり、このアミロイドが腱、骨、関節に蓄積し、さまざまな障害を引き起こします。症状には、手のつけ根のしびれや痛み、肩・膝などの関節痛、首、腰、四肢などの運動障害、バネ指(スムーズな指の曲げ伸ばしができなくなります)などがあります。高性能のダイアライザーや効率の高い透析療法を用いて十分に透析を行うことで、透析アミロイド症の発症を遅らせることができます。治療は、おもに痛みを和らげる対症療法(薬物療法や理学療法、手術など)が行われます。
・免疫低下・感染症
透析患者さんでは、体内に蓄積した尿毒素の作用や栄養不足、貧血など、さまざまな要因によって免疫力が低下し、感染症にかかりやすく、また治りにくくなっています。透析患者さんの死因として2番目に多いのが、この感染症です。皮膚やからだを清潔に保ち、十分な透析と栄養摂取を心がけ、予防注射を積極的に行い、外出後には手洗い・うがい、皮膚の傷にも気をつけることなどが、感染症の予防につながります。
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