今回も引き続き、透析患者に起きる体の変化についてお話していきたいと思います。
尚、過去の記事については、下記リンク部分をご参照ください。
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第6回目
【変化⑲】 体の様々なところに石灰が沈着する
通常、体の中で石灰が沈着している場所は骨組織ですが、
透析患者の体では、骨以外の様々な部位に石灰が沈着し、
軟部組織があたかも「骨っぽくなる」現象が良く起こります。
血管や心臓、関節周囲、肺、角膜などに起こります。
また、透析患者の60~80%に存在しておりますが、
また、透析患者の60~80%に存在しておりますが、
異所性石灰化は石灰化した内臓の働きを落すため、
患者の生活の質や生命に関ります。
とくに血管石灰化は、全身の内臓の血液循環を悪くし、
内臓が壊死する病態を引き起こします。
異所性石灰化は進行するとレントゲンに写りますし、
CT撮影では石灰化の量を測定することもできます。
石灰化病変は元に戻らないことが多い為、
高リン・高カルシウムといったリスクを日ごろから管理し、予防することが大切です。
【変化⑳】 関節が痛くなる
高齢患者や長期透析患者は、関節が痛むことがあります。
その関節痛のおもな原因の一つが「透析アミロイド―シス」という合併症です。
その関節痛のおもな原因の一つが「透析アミロイド―シス」という合併症です。
簡単にご説明しますと、通常タンパク質は、
腎臓で異化(生物が外から取り入れた物質を化学的に、
より簡単な物質に分解すること)されますが、
腎不全状態では血中溜まって蓄積されます。
そのため血中濃度が正常より10~40倍まで増加します。
血中濃度が透析アミロイド―シスの発症に必ずしも関係するとは限りませんが、
発症の要因として、
1.タンパク質の血中濃度が高いこと2.高齢者あるいは長期透析患者
3.遺伝子学的要因
4.沈着したアミロイドタンパク質の終末糖化産物化等
が挙げられます。
アミロイド繊維は、骨関節組織、
特に手根管、肩関節、脊椎に沈着しやすい特徴を有しており、
沈着する部位によって、骨関節障害が生じます。
さらに、動脈の他、内臓組織にも沈着しますので、
消化器に沈着すると下痢や下血、心臓に沈着すると不整脈などを起こします。
このような多彩な病態は透析患者の運動能力や生活の質を低下させる原因となっています。
このような多彩な病態は透析患者の運動能力や生活の質を低下させる原因となっています。
組織に沈着してしまったアミロイド繊維を取り除くには、
整形外科的な手術療法しかありません。
治療方法としては、沈着の予防、運動制限の改善、
非ステロイド抗炎症薬などによる疼痛緩和の治療などがあります。
予防することを念頭に置きながら適切な治療を行うことが大切です。
今回は透析を行っていくと起こる体の変化として、
体の様々なところに石灰が沈着すること、関節痛が起こることをお話させて頂きました。
今後も引き続き体の変化についてお話させて頂く予定ですので、
どうぞよろしくお願いします。