2021年11月24日

腎不全で起こる変化⑤


今回も引き続き、透析患者に起きる体の変化についてお話していきたいと思います。
尚、過去の記事については、下記リンク部分をご参照ください。


今回は食事にまつわる体の変化です。

【変化⑬】 食塩の過剰摂取で体重が増加する 

透析患者が食塩を過剰に摂取すると、
腎臓では十分に排泄できずに浸透圧が上昇し、
抗利尿ホルモンの刺激やのどの渇きによる飲水により
細胞外水分が増加します。

そのほか浮腫や頭痛をひき起こし、
時に希釈性ナトリウム血症や
心不全を伴うこともあります。

透析患者は腎臓が正常に機能しません。
そのため、水分やNaの異常を感知して
調整する反応が正常に働いても、
腎臓で尿を適切に作ることが出来ず、
水分やNaのバランスが崩れやすくなります。


【変化⑭】食事摂取によりカリウムが溜まる

腎機能の廃絶した透析患者は、本来尿として排泄されるはずの
カリウムが体内に溜まる事になります。

カリウムは細胞の代謝や筋肉の収縮、酵素活性をつかさどる、
生きていくうえで必要不可欠な成分です。
しかし、高カリウム血症になると、心
筋の感受性が高くなることで
心室期外収縮や心室細動などが認められ、
最終的には心停止に至ります。


カリウムは以下のような食品に含まれています。

・アボカド ・バナナ ・メロン 

・柿 ・キウイフルーツ ・ほうれん草

・アーモンド ・ピーナッツ ・干し柿 

・するめ ・干しぶどう ・塩 ・みそ



カリウムの摂取を抑えるためには、生野菜の摂取を控え、
茹でたり湯通ししたりしてカリウムを減らしましょう。

更に積極的にカリウムを排泄するために、しっかりと透析を行うこと、
カリウムを吸収除去する内服薬を服用することが重要になってきます。



【変化⑮】食事摂取によりリンが溜まる

リンは体内でカルシウムの次に多い元素で、
歯や骨の成分以外にエネルギー代謝に使われたり、
細胞膜やDNAを構成したりと、
生体の機能維持に大切な役割を果たしています。
重要な役割を持つリンですが、過剰に蓄積すると
血管や皮膚など全身の石灰化から
様々な有害作用を引き起こします。
リンが多い食品は、
肉・魚・卵・乳製品・豆・ナッツ類が代表的で、
ソーセージやスナック菓子などの
加工食品・清涼飲料水にも多く含まれています。

透析患者はリンの過剰摂取を防ぐために、
添加物が多く含まれる食品を避けたり、
リン吸収薬を服薬したりすることが重要になってきます。


今回は透析を行っていくと起こる体の変化として、
食塩の過剰摂取で体重が増加する、
食事摂取によりカリウムやリンが溜まることをお話させて頂きました。

今後も引き続き体の変化についてお話させて頂く予定ですので、
どうぞよろしくお願いします。

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